こばさんのDACのプリアンプ機能とライントランスを積んだプリアンプの比較からライントランスを外された日記にルンダール社トランスの優秀さをレスした立場から、同社のトランスの測定結果も見つけました。
「LUNDAHLのライン・トランスにインピーダンス表示がない理由」
「 LUNDAHL のライン・トランスのインピーダンスは何Ωですか?」というご質問を受けることがあります。一般的にライン・トランスは巻線比が同じ 1 : 1 であっても 600Ω : 600Ω、とか 10kΩ : 10kΩ などとインピーダンス指定があります。しかし LUNDAHL ではデータ・シートにインピーダンスの記載がありません。
それでは逆に、なぜ 600Ω用や 10kΩ用があるのでしょう? 下の矩形波応答波形を見てください。これは昔からある国産の 600Ω用ライン・トランスの応答波形です。測定器の入力インピーダンスを 600Ω で終端した場合(左)はまずまずの矩形波応答を見せていますが、ハイ受け( 10kΩ )にしてみると(右)、盛大にリンギングが現れます。線路インピーダンスに合わせたコイルの巻き方をしているので、設計と異なるインピーダンスでは実力を発揮できないというところでしょうか。
BTS 600Ω
BTS 10kΩ
次は LUNDAHL の LL1524 というライン・アウト・トランスです。600Ω 負荷でも 10kΩ 負荷でも波形にほとんど違いが見られません。LL1524 に限らず、LUNDAHL のライン・トランスはみな同じです。
LL1524 600Ω
LL1524 10kΩ
LUNDAHL トランスは伝送ラインのインピーダンスに関わりなくお使いいただけるため、データ・シートにはインピーダンス値の 記載がない、ということでしょう。
ついでといってはなんですが、この LL1524 は優れた音質だけではなく、 48mm(w) x 34mm(d) x 22mm(h) というコンパクト・サイズにもかかわらず、最大出力レベル +24dBU/30Hz という高レベルを誇ります。 LUNDAHL トランスは、一般的によく使われる(コイルを巻くための)ボビンを使用しない、独自の『ボビンレス構造』なので、 コンパクトなサイズながら大型トランス並みの許容レベルがあるのです。
長い間いろいろなトランスを扱ってきましたが、こんなすごいトランスは初めてです。
JEFF ROLANDやLINNのハイエンドアンプの入力やライントランスにもルンダールが採用されているのをTIASで確認しています(写真はLINNのトップエンドプリアンプ)。
なおオルトフォンのMCトランスもルンダール社製トランスを採用しています。