音響監督のサーロジック社村田社長、設計士さん、施工会社の施工総監督のSさんと平蔵で2時間近くかけて、最終施工部材と施工確認が終了しました。
柱
前壁は全て12寸、後ろ壁は16寸に対し、横壁は12寸と間柱が8寸での仕上がりとなっています。
当初の全て4寸柱だったころです。
この4寸だったときには、柱をゲンコツで叩くと「ボーン、ボーン」と梁を伝わって反対側の柱まで響きました。
これが12寸、16寸ですと「ドン!」と叩いたところだけ。
8寸ですと「ボン!」と少し尾を引きます。
部屋が狭くなると妥協して横壁を8寸柱部分も設けたのですが、音圧強度はやはり気になります。
結局この8寸にさらに4寸柱を連結させて、横壁柱を全て12寸にしてもらうことにしました。
これでサーロジック社村田さんの計算する4寸柱の27倍の音圧強度を持つことになって、梁まで3mでの理想的なマトリクス構造を取れます。
当初の設計や自分の考えになかったのが、この音圧からの壁の面揺れの概念でした。
壁の面揺れを抑えるのは柱ということもサーロジック社の理論的解析と実際に施工しての柱打撃実験からよくわかりました。
基礎や床の強度だけ心配したのに、壁や天井の共振らに神経がいっていなかった・・・
これもマイオーディオルームという本から著者のStudio K's の山本耕司さんにコンタクト。
山本さんから、自分がアドバイスするよりもそちらにサーロジック社の村田さんを頼ってみたらとアドバイスいただいたおかげです。
後述する遮音も当初設計での問題は山積で、村田さんのアドバイスなしには音漏れで母屋の寝室や近隣に気を遣う失敗例になってしまったことを思うと、山本さん、村田さんには感謝にたえません。
壁材は強度、より無共振で壁ブーミングが起きにくい関係でサーロジック社のマトリクス200シリーズを採用したことは日記のとおりです。
ただこれもかなり高額な壁材ですので、全壁これというわけにもいかず、また壁剛性設計はサーロジック社によると赤部分は高剛性、緑はミッドバス吸音領域で剛性をあえて落とす。
後壁と天井はロー帯域吸音壁で、壁と言うより角材を並べてスリットを開けて、ロー残響を吸音させるという音響設計です。
上の赤い部分の必要限度だけマトリクス200シリーズを。
その他は必要に応じて、サーロジック社の方で、表面が堅いブナ合板ー石膏ボードー柔らかい木の合板らを接合してもらって壁材とすることにしました。
上記リンク先のとおり、どの部材をどう接合するとどのような共振特性と共振音圧を持つかは素人の自分では計測環境もないので、サーロジック社頼りです。
後壁と母屋の遮音
こちらはサーロジック社で設計を修正したとおりです。
母屋との壁厚は約60cm。
音楽室の外壁の遮音ボードも含めた壁、壁の真ん中に2重石膏ボードないし遮音壁材。
これで遮音です。
音楽室の内壁はスリットを適宜開けて低音領域の吸音に使うことから、これは遮音にはなりません。
結局遮音層としては30cm、残り30cm層はロー帯域吸音層の利用となります。
天井
現在の家屋設計はかつてと違って、壁、屋根裏と繋がった空気層を作って、循環した空気が外に通じている構造です。
これは屋根と部屋の温度差から屋根裏が結露しないようにして、屋根裏の木材や断熱材を水分から守って耐久性を上げる工夫です。
これはこれで素晴らしいのですが、この外と空気層で繋がる構造は遮音には決定的にマイナスとなって、関係者頭を抱えました。
対策は後壁と似た発想の天井2重構造です。
この縦の垂木裏に遮音と空気層を確保させるため、防湿シートを貼った二重石こうボードを第一天井材として取り付けます。
その下にグラスウール層を設けて、さらにシルクシートをそこに被せます。
その下に目に見える天井として角材が1cmの間隔をもって並べられます。
ここはこのパースのとおり、当初のサーロジック社案そのものです。
床
基礎コンクリートの上に根太が敷かれて、間に断熱材が入りました。
この根太も特殊木ねじで基礎コンクリートと結合されて、サーロジック社サイトで失敗例とされたOTOさん邸のような経時変化の木材の反りらで床下が浮いてこないようにしてもらいました。
この上にALC板(軽量コンクリート板)が敷設されて、これも特殊木ねじで基礎コンクリート、根太と結合してもらいます。
その上にフローリング材でこれもALC板に木ねじで結合してもらいますので、メカニカルアースと制振、剛性、経年で浮かない、凹凸が出にくい対策もしっかりで安心です。
なお、音楽室電気工事も一部始まりました。
屋内配線材として採用したACOUSTIC REVIVE EE-F2.6TRIPLE-Cが床下に配線されました。
この文字のとおり、電気の入り口からコンセントに向けて方向性を持たせています。
コンセントは3芯タイプながら、配線材は2芯をチョイスしました。
アースはアースループを作らない、日本製オーディオ製品の多くの3芯のうちアースは機器に繋がっていないことなどから、コンセントに接続しないからです。
アコースティックリバイブ石黒社長も同意見です。
先達のレビューからもマイ電柱、出水電器の特注配電盤ともども高音質電源を期待したいです。
ようやくここまでです。
LAN配線も完了していますが、線材をカテゴリー7ではなく、6でやったことなど後からしまったなあということはどうしても出てきますね。
この度重なる設計変更にイヤな顔せずお付き合いいただいている設計士さん、施工会社、棟梁に感謝です。
棟梁一人で12寸柱を持ち上げて連結してくれたのですから・・