2003年にオーディオ店に寄せた一文より。
現在このスピーカーに組み合わされるアンプはEL156プッシュプルという最大トルクを持つ真空管アンプ相当で当時のアンプで残っているのはありません。
それで、下記のガルネリの欠点を克服できたのです。
投稿分の魚拓より。
ソナスファーベルの「ガルネリオマージュ」の導入
1.導入のきっかけ
今年の9月に開催された真空管オーディオフェアの日でもあって、そこのデモで何台ものスピーカーを。それからアキバのヤマギワさんやダイナさんなどで何十台と色々なスピーカーを聴きました。雑誌で見る最新のスピーカーの実力を見たかったのです。
上はアバンギャルドオールホーンやB&W「ノーチラス」から下はアコースティックラボ「ステラメロディ」とかまで。
どれも音場がどうか、楽器のメーカーの音色はきちんと出るか、ユニットの繋がりはどうか、音量を絞って痩せないかなどクリティカルに試聴していたのです。
ガルネリを偶然見かけて室内楽のCDをかけてもらったら、そんなクリティカルに試聴することを忘れて、ただただ聞き惚れてしまったのですね。音(音楽)感覚の琴線に触れたのでしょう。
気持ちよくなって思わずうたた寝をしそうでした。1週間以上たっても、その音が忘れられなかったので、買うことにしたんです。
平日は特に音楽で癒されたいですから。こういう経験は滅多にありません。
正直買うつもりで試聴したわけではありませんでしたので、大出費となってしまいました。
2.ガルネリ搬入~組み立て~設置
段ボールにさらに木箱に入れられてやってきました。かなり梱包は厳重です。
SP台の柱部分です。かなり重いです。(←写真左)
SP台下部の大理石台です。本国ではこの石の色等を選べるそうです。(写真右→)
SP本体が入っている木箱です。観音開きに開きました。
海外からはこのように厳重に来るのですね。(←写真左)
SP台を組み立て中です。ネジ3個を付けるだけです。(写真右→)
SP本体はさらに布で厳重にくるまっていました。(←写真左)
SP本体です。(写真右→)
組上がりました。下の台はタオックのオーディオボードSCB-CS75Dです。
現在は合うアンプを実験検討中で寝室+くつろぎ室に入れています。
いずれ別の洋間か音楽室に移動させる予定です。ガルネリの付属台は30センチ×40センチですが、下が畳部屋でも、これだけTAOC台大きいと、ガルネリ台も安定しています。
ボリュームを上げると太いSP台といえども相当振動しています。オーディオボードは振動を熱エネルギーに変換することにより床に振動を伝えて励振させず、音の濁りを防止する効果があるそうです。確かによく制振しています。 心なしかすっきりした音になっています。
ガルネリは6dB/octのシンプルなネットワークで、おそらくインピーダンス補正もなわれていないコンデンサー1個、コイル1個程度の最小限のものかもしれません。
こういったシンプルなネットワークのものは負担が軽く、真空管シングルでもドライブしやすいものです。
取り説は布貼りのフランス料理屋さんのメニュー表そのものです(笑)。 製作者の自筆サインのようです
特性が測られてきます。
3.聴いてみて
予想どおり501SEの管球シングルでも十分鳴ってくれますね。ボリュームを上げれば張り裂けんばかりの音まで上げられます。これに対し、いまひとつ気に入らないところのあった300Bプッシュもよく鳴ります。
シングルにはない。プッシュプルアンプの低域の沈み込みと力強さを発揮する反面、300B復刻をあてたものの、プッシュのイヤなわずかな耳障りな点は、ガルネリのイヤな音は一切出さない特色で殺してくれているようです。
風景で表せばなんでしょう?都会の雑踏でもないし、春のうららかな草原にひっくりかえっているような感じなんでしょうか。
ピアノ表現はうちではアコースティックラボ・ボレロの方が実際的な音がします。さてボレロも10数年頑張ってもしかしたらガルネリと引き換えに引退かと想像していましたが、まだまだこれもなかなかのものです。
ビッグバンドJAZZなどは、ちょっと雰囲気豊かなことが災いして、ダイレクト感、エナジー感はJBL4301ほど出ません。これは一緒に聴いた友人もJAZZオケではJBL4301の方がよかったとのことです。
もっとも4301ですと、オーケストラなどが音場感が平面的になってしまいます。
女性ボーカルと小編成、特に弦楽器はまさにその音色をしっかり描き出します。
先日近くで生で聴いたアナスタシアのCDチャイコフスキーヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35をかけると、ロシア国家コレクション特別貸し出しのストラディヴァリ「Zubowsky」の一歩間違えれば金切り声寸前の切り立った霧ヶ峰の頂上に立っているような微妙で限界的なその音色もきちんと耳障りなく出ています。
マリアカラスでは強唱で耳を突き刺すようなこともありませんでした。
音像は浮き立つようにふわりと出ます。
かえって小中学生の女の子位のあの背の高さも人が歌っている雰囲気に幸いしているかと。
小編成・ボーカルには300Aは実在感で聴かせる感じ。2A3では全体的雰囲気でふわっと聴かせる感じです。
2A3シングルでは楚々とした柔らかい音がガルネリの別の長所を助長するようです。ただフルオケでは出力が足らなくなります。室内楽と女性ボーカルはなかなかの再現です。
和室にはいまひとつその意匠が似合わないので、合うアンプが決まったら、そのアンプ毎早く洋室系の部屋に移すつもりです。
SV501SEは出力トランスには4Ω線と8Ω線が出ています。
これまで6Ωのアコラボ ボレロ、4ΩのE.J.JORDAN JX92Sフルレンジにも繋いで使っていましたので、4Ω線を使い、NFは8Ωからかけていました。この場合4ΩのSP端子からNFをかける方法もあるそうです。ガルネリの場合は出力トランスは8Ω、NFもこの8Ωからがもっとも力感があって、見通しのよいすっきりした音になりました。
4Ωの場合は電気的には出力が半分になります。以前の上記結線方法とは別のアンプのようです。
このように出力トランスの2次側インピーダンスの選択、NFのかけ方は大きくSPの再現性に影響を与えることが改めてわかりました。6ΩのSPをお使いの場合は幾通りもの結線方法があります。是非実際に繋ぎ変えて好みの音になるよう実験されることをお勧めいたします。
ガルネリと最近のアンプ構成
ガルネリも我が家にやってきてから3ヶ月近くが経過しようとしています。だいぶ馴染んできたような気がします。実際の設置は当初の写真よりだいぶ内ぶりにして目の前1メートル位で両スピーカーの交点が結ばれる形となっています。某オーディオ店でのB&Wオリジナルノーチラスの激しい内ぶり設置に触発されて、自宅で試した結果そうなりました。
この設置の結果、当初よりも両スピーカの後方に遠近感と広がりを持って音場が展開するようになりました。一部のライブ録音では歌手は前に、演奏は後ろに展開する様子がふわりと浮かび上がります。
昔は壁と平行とか、耳に対面する角度などが推奨されていましたけど、このような設置方法もあるようです。一度お試しになる価値はあるように思います。
なおガルネリはニスの問題があって99年にニスが改良されているようです。それに合わせてネットワークなどにマイナーチェンジとも言える改良が加えられたようです。もし中古で手に入れられる機会があれば99年製以降のものをお勧めいたします。
8割はこのガルネリで(クラシック)、一部はJBLで(JAZZ.ROCK)聴くことが多くなっています。
ガルネリ オマージュに組み合わせたSV-501SEの最終的な球構成です。6BM8はフランスRTCを、それにWE300A最初期が組み合わされています。
501SEは回路図からも6BM8シングルアンプに300Bバッファーアンプが組み合わせた構成と言ってもいいようなものかと思います。実際にこの6BM8が尚更最終的な音の要素への支配性が大きい感じがします。
なおキット屋さんからSV-91Bをお借りして聴きました。さすがというか、低域の沈み込みは拙宅の300Bプッシュプルと対等なものすごさです。ひとつひとつの音のエナジーが強力で音がパンパンとスピーカーから音が飛んでくるイメージでした。501SEやそのとき同時に聴いたJB300Bとはその辺が違います。
ただそれぞれに個性があって好みですので、どれが絶対的にいいなどと単純に優劣を付けられるようなものではありません。個人的にはキット屋さんの300Bシングルの中では、91Bが最も分化表現型で、演奏者との距離感が近い表現と感じました。
ガルネリとの組み合わせでは501SEのスムースな演奏表現もなかなかでうちではこれも代え難いものです。なお、ガルネリにはその他に手持ちのマランツ#8B、ユニゾンリサーチS6(球は前段も含めて全てムラードに換装)、VP-MINI88も合わせてみました。
ユニゾンリサーチは特にイタリア同士でしたので相性の良さを期待したのですけど、クラシックなどがアップテンポに聞こえて相性はいまふたつでした。かえってJBLでのJAZZあたりの相性は悪くなかったのですが。アンプとスピーカーの相性は大変難しいものですね。MINI88もガルネリに限っては相性はよいようには感じられませんでした。ただこちらは球はオリジナルのままですので、球の換装による変化はわかりません。
サブウーハー(ヴェロダイン DD-18)導入
ガルネリだけではどうしても低域が不足して、フルオーケストラや大太鼓、パイプオルガンなどの低域の再現性に限界がありました。そこでサブウーハーを導入しました。
機器は「ヴェロダイン DD-18」というものです。
結果的には繋がりにおいての違和感もなく、上記の低域楽器の実在感ある再現性の向上が図れました。
合わせて演奏前のオーケストラ員らが身構えた空気感、臨場感も感じられるようになりました。
きちんと調整すると特殊なパイプオルガンの低域だけでも鳴らない限りは、鳴っているかどうかわからない程度です。単体だけで鳴らすと作動していることがわかります。逆に高域が伸びたように聞こえるのが不思議であります。
ヴェロダインにした理由は
・15ヘルツ~199ヘルツまで1ヘルツ毎にカットオフ周波数を選べること
・クロスオーバー特性が6dB/oct~48dB/octまで3dB単位で自在に選べること
・位相が0度~360度まで5度づつ選べること
・調整する周波数イコライザーが下記のモニター画面の写真のように細かなこと
・これが一番ですけど付属マイクでスイープトーンを拾って、テレビモニターを見ながら上記の調整ができることです。
プリアンプのSV3などはプリアウトが2つあるので便利です。
一方をパワーアンプに、他方をサブウーハーのラインインに繋げます。
特に位相調整が大事で、ここをいい加減にするとガルネリの低域と逆相になるなどして音圧の打ち消し合いが生じたりします。
これはヴェロダインの周波数毎にイコライザーを上げ下げすればわかります。
逆相ですとある周波数のイコライザーを上げると、却ってその周波数の音圧が下がります。本来はガルネリと同相であれば合成されて音圧が上がらなければなりません。
これを各低域の周波数で行い、設置の前後のほか、主として位相とクロスオーバー周波数、クロスオーバー特性をテレビ画面を見ながら調整していくわけです。
私の場合はイコライザーの周波数毎にDD-18の音圧を上下させて逆相になっているところがないか?逆相ですと音圧を上げたのにその周波数での測定音圧が下がります。また上がるようになっても上がり下がりが素直にリニアに反応するかで調整していきました。
ガルネリとDD-18が逆相まではいかなくても位相がずれているとイコライザーの帯域を上げても測定上はリニアに上がっていかないようでした。
位相の10度15度の違いは私の聴感のみでは判断が困難です。
感度の低いサブウーハーやスーパーツイーターの設置調整は測定も併用されることをお勧めいたします。
結局位相15度、イコライザーはモニター写真のとおりの調整、カットオフは50ヘルツ、音圧レベルは7dB、クロスオーバー特性は36dB/octで落ち着きました。モニターを見ながらですので、調整し易かったです。聴感では難しいように思います。
ガルネリのみの低域特性です。やはり寂しいものがあります。ヴェロダインDD-18を加えてのものです。
125ヘルツあたりの落ち込みは部屋の影響です。
設置状況です。上にはシャーリングのSACDプレーヤー
と付属マイクが置かれています。普段は乗せていません(^^;)。付属ネットを付けた状態です。だいぶ圧迫感が和らぎます。
ほとんどソナスファーベル社の第1号機のsnailを彷彿させます。