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Channel: ゴルゴ平蔵のブログ
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ホームオーディオはなぜ高額機が中心になったのか 原価計算してみます

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系列に松下系パーツメーカーを抱えるかつてのテクニクス Aurexといった国産メーカー製を念頭に、昭和のオーディオブームのころと比較して計算してみます。 

スタッフは20人程度で、開発期間は1年とします。 

企画販売台数は20000台。

開発にかかる人件費は4億円。
開発のための周辺機器を入れて開発に必要なコストを2億円とします。 

これが固定費ですね。 

生産面では、材料費は15万円で、販売会社に30万円で卸し、40万円で販売店に売られ、エンドユーザーには定価の2割引の48万円で買われます。

このケースの場合、ビジネスとしての損益分岐点は4000台です。 

大半の海外ハイエンドガレージ高級メーカーの場合はどうでしょう? 

製品化まで10人必要としましょう。

少ない人数で、パーツ等から開発できませんからあれこれしなければならず、テクニクス等の倍の2年を開発期間とみます。 

固定費等開発費は合計6億円で国産メーカーの場合と同等です。 

価格もハイエンドですから爆発的に売れるはずもなく、販売数は少なめに見積もらなければなりません。 

販売ロットは1000台。

開発費を回収できる損益分岐点を、上記国産の1/10程度が最終総販売量と想定して、400台に設定します。 

材料費については、テクニクスのように自社でデバイスを開発できないので、同じレベルのクオリティのものを使おうとすると、コストが上がってしまいます。 

ここでは材料費をテクニクスの1.8倍程度の25万円とします。もっとかかってしまうかもしれません。 

400台で開発費を回収しようとすると、一台あたり150万円の利益があがらなければ回収できませんね。 

そこで、販売会社への出荷価格は175万円になります。輸入関税から販売店マージンなどを含め、最終的にはこの製品の定価は、テクニクスの例からも製造からの倍程度の350万円に設定しなければなりません。 

同じレベルのパーツを使っても、テクニクスらと違って、製造原価が上がり、25万、さらに2割引きの慣行をふまえて、定価を350万(実売290万)に設定される所以です。 

デバイスの自社開発力を背景に、大きな販売網で大量に売ることを見込めるメーカーが消えると、ニッチを狙うがために製品を高価格に仕立て上げざるを得ないメーカーから大枚のお金を払ってオーディオを購入しなければなりませんね。 

かようなメーカーはとりわけ意匠に意を払っていることが多い傾向が見て取れます。(中のパーツはたいしたものでないことも) 

外観はとりわけ重視されるから、デザイナー代も見ておく必要が大。 そこにもコストがかかります。

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