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Channel: ゴルゴ平蔵のブログ
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レコードv.sSACDらハイレゾ JAZZブルーノート コンテンポラリー

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録音当時の機材では市販ソフトにフルに移せなかったマスターテープの音。
どうして平蔵がESOTERICやステレオサウンド社の下記マスターテープからフラットトランスファーでDSD録音したデジタルマスターからのSACDを注文したのかの回答になっています。
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ステレオサウンド最新号 203号に嶋護さんがブルーノートとコンテンポラリーといったJAZZ二大レーベルの作為的音作りと、音質問題について的確に書かれていた。

嶋護さんといえば、このステサン誌で過去紹介された高音質ソフトをまとめた本があるというので注文したばかりである。
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ステサン最新号254頁からの記事から備忘録として抜粋引用したい。

ヴァン・ゲルダーが録音したブルーノートのマスターテープ(またはそのストレート・コピー)を耳にしたことのある内外の関係者たちは口を揃えて彼のマスタリング課程を以下のように解説する。

まず低域(150Hz付近)をブーストするが、膨らみ過ぎないように50Hz以下は完全にカットする。

そして、中高域に「張り」を持たせるため3~8KHzを6dB以上ブーストするが、録音時に発生した歪を隠すためと(RIAAカーブに基づくプリエンファシス効果で)オーバー・カッティングを防ぐために8~10KHz以上を完全にカットする。

このためブルーノートのオリジナル盤にそれ以上の高域成分は入っておらず、もし反応があったとすればそれはマスタリング時に機材が発生させたノイズである。

さらに加工は続く。
半世紀前の家庭にあった安物レコードプレーヤーでかけても急激な歪みや針飛びが生じないように、圧縮比2:1以上のコンプレッションをかけてピークを潰す。
さらにEMTエコーをかける。

さらにヴァンゲルダーが用いた機器の古い設計で音質的癖が強いフェアチャイルド社#670コンプレッサーや同#642カッターの固有の音に染められている。

1960年代末まで(あるいはその後も)マスターテープの音とアナログ盤の音との間には技術的習慣的理由で生じた音質差は著しかった。


コンテンポラリーのロイ・デュナンはどうか?
彼も自らレコードをカッティングしていたが、ステレオ盤ではマスターテープから70Hz以下と10KHz以上をカット。
イコライザーで5KHzを少しブーストし、圧縮比2:1のコンプレッションをかけていた。
そして仕上げに人工エコーを付加していた。
モノラル盤は同様の工程に加えて、5KHzのブーストを一層強めた。

コンテンポラリーはステレオ録音に当時最新機種のアンペックス350-2Pを導入した。
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新型テープレコーダーを導入した結果、同時に回していたモノラル・マスターに比べると、ステレオ・マスターテープはダイナミックレンジや生き生きとしたタッチで明らかな優位を保つこととなった。

コンテンポラリーのステレオ・マスターのダイナミックレンジは今日の水準に照らしてもワイドだが、前述の加工のほか、デュナンが使っていたウェストレックス・カッターヘッドの性能や、それ以上にカッティングアンプの出力に限界があった。

CDや今のカッティングマシンならともかく、当時の機材でマスターテープの音をフルに市販ソフトに移すのは無理なことだった。

ミーツ・ザ・リズムセクション、ウェイ・アウト・ウェストのような初期のステレオ録音では、ステレオ感を強調するために、スタジオで楽器を左右に極端に分けて配置し、中央は空けていた。

中央の「穴」は穴ではない。
優秀なシステムでマスターテープを聴けば、2つのスピーカーの間には、スタジオ壁面からのナチュラル・エコーが飛び交う3D空間が出現する。

ところが前述のマスタリングで加えた人工エコーはその空間を塗りつぶしてしまうことになる。

これはデュナンが中央にも楽器を配置するようになった後年の録音でも事情は変わらない。

解像度に優れたハイエンド・システムの所有者には、後付けの人工エコーは害にこそなっても、益にはならない。

SACDレイヤーには無加工のマスターテープの音を、CDレイヤーにはかねてからの加工された音が入っているので、オリジナル盤の音もという向きにも心配はいらない。

コンテンポラリーシリーズSACDボックスのように、アナログ時代のヴィンテージ・サウンドと、最新技術との間のバランスを積極的に録ることに成功したディスクはそうあるものではない。
特にジャズの復刻盤は他ジャンルに比べて技術的にも商業的にも多くの障壁が避けられないこともあって、近年では貴重きわまりないソフト。

平蔵注
これらSACDをかねてからのラッパが付いたホーンスピーカーでは3次元定位が苦手なことも相まって、周波数特性とダイナミックレンジの違いくらいしかわからない。

このリマスターSACDシリーズは是非とも空間再現も万全なフリースタンディング設置、ルームチューンまで意を払われた現代ハイエンドオーディオで聞かれることをお勧めします。

かつての目を瞑って音を聴く平面オーディオ~21世紀オーディオは音はもちろんですが、ハード、ソフトとも空間までホログラフィックに出して音が見えるオーディオでマスターテープそのものに入っていた音場情報がわかるからです。



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