平蔵が近年多用し出したPC-Triple Cについてわかりやすくまとめてありました。
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なお平蔵はケーブル選択にあたって、絶縁材も大変重視しています。
アコースティックリバイブ社石黒社長によると、この絶縁材がテフロンであれば、内部導線の表面が酸化して、半導体化、絶縁化することなく、半永久的とされるからです。
したがって、屋内配線材は当然劣化のないテフロン絶縁体ケーブルから選んだことは言うまでもありません。
これまで、オーディオ用のケーブル素材として広く使われてきたPCOCC(単結晶状高純度無酸素銅)は、文字通り単一の結晶素材を使っているのが特徴。単結晶であるため、結晶と結晶の境目である結晶粒界が存在せず、その境目に不純物が入り込まないため、優れた導電特性を持っている。
このPCOCCに代わるものとして新たに開発された「PC-Triple C」は、大きく2つの特徴がある。1つは、通常のOFCから鋳造時に、不純物が付着した数ミクロン単位の極微な異物をさらに除去する、独自の鋳造方法で製造された、古河電工の高純度無酸素銅(OFC)を使っている事。
この銅素材は屈曲性や強度に優れ、オーディオケーブルに適しているほか、結晶粒界の不純物が極小であるため、微小信号まで伝達でき、さらにケーブル用導体として極細線まで引き伸ばす事ができる(大きな不純物がある場合、引き伸ばすとその部分で断裂してしまう)。しかし、単結晶素材ではなく、結晶粒界があるため導通特性はPCOCCには及ばない。
そこで、この素材に対して、さらに「定角連続移送鍛造法」と呼ばれる作業を行なっているのが2つ目の特徴。この定角連続移送鍛造法は、OFCを一定の角度と方向を持たせた状態で、50%まで小圧力で数万回連続鍛造するもの。つまり、小さな力で、何万回も叩く工程となる。
これにより、OFCの中で縦向きに並んでいた結晶構造が、横方向に“寝た”状態になりながら伸延されていく。これを続ける事で、結晶構造と粒界は細分化され、長手方向に並び、電流を遮る縦方向の結晶粒界も無くなる事で、電流がスムーズに流れるようになるという。さらに、鍛造する事で、導体内部の空礫なども消滅し、導通特性や音響特性に良い影響があるという。
鍛造処理をする前の導体断面
一定方向に連続鍛造していく事で、結晶と粒界が横方向に伸延されているのがわかる。
50%(Sq比)まで鍛造した後の断面。結晶構造と粒界が細分化され、横方向に綺麗に並んでいるのがわかる。この状態になると電流がスムーズに流れるという。
伸線後の導体断面。結晶同志が融着し、連続した結晶のように変化しているのがわかる。