今回の伊豆オーディオの会にお呼ば考えたれして、何かお土産と考えていたら、アコースティックリバイブ石黒社長から、拙宅でもACOUSTIC REVIVEのトップモデル「PC-Triple C Absoluteシリーズ」を試してみませんか?と。
そこで、各種ケーブルをお借りして、伊豆に持参すれば、各オーディオエンスー宅でのリファレンスケーブルとお借りしたハイエンドケーブルを比較いただけると送っていただきました。
RCA-2.0 Absolute-FM 1ペア
RCA-1.5 Absolute-FM 1ペア
XLR-1.5 Absolute-FM 1ペア
Power Reference-TripleC (3芯) 1本
Power Reference-TripleC (2芯) 1本
ACOUSTIC REVIVE PC-Triple C Absoluteシリーズ
PC-Triple C Absoluteシリーズのケーブルは5Nグレードの銀と銅を鍛造製法により強固に一体化したハイブリッド導体PC-TripleC/EXを採用。
金太郎飴のような切断面ですね。
二重構造の母体材料に対して、さらに「定角連続移送鍛造法」と呼ばれる作業を行なっているのが2つ目の特徴。
この定角連続移送鍛造法は、OFCを一定の角度と方向を持たせた状態で、50%まで小圧力で数万回連続鍛造するもの。つまり、小さな力で、何万回も叩く工程となる。
OFCの中で縦向きに並んでいた結晶構造が、横方向に“寝た”状態になりながら伸延されていく。
これを続ける事で、結晶構造と粒界は細分化され、長手方向に並び、電流を遮る縦方向の結晶粒界も無くなる事で、電流がスムーズに流れるようになるという。
さらに、鍛造する事で、導体内部の空礫なども消滅し、導通特性や音響特性に良い影響があるという。
Myuさん方の試聴環境はすでに書きましたとおりのアキュフェーズと自作スピーカーを中心にしたシステム。
当初ウーハーは共通で、当初は外側のホーンシステムも鳴らされました。
SONY渾身のベリリウムダイヤフラムのドライバーの音を初めて聴かせていただきました。
2ウェイで可聴帯域カバーの現代ワイドレンジドライバーなのですね。
ホーン臭さもほとんどなく、この特注ホーンとの相性もいいですね。
しかし、隣のヒロアコースティック、ルーメンホワイトやMARTINも採用するセラミック振動版のAccuton社のユニットで揃えた系統の方が明らかに音数は多く、音場感も豊かです。
バッフルがほとんどない効果もしっかり出ていて、ケーブルの比較試聴はこのAccuton系統で行いました。
もともとはアキュフェーズ社のケーブルを中心にやESOTERIC P-0とAccuphaseのデジタルプリアンプDC-330間のデジタルXLRケーブルはAPOGEE ELECTRONICS社の「WIDE EYE A/D」というものでした。
買う買わない、買える買えないは別にして、現在のテクノロジーで究極を目指して開発されたケーブルでさらにMyuさんのシステムのポテンシャルが確実に上がりました。
自分のオーディオの伸びしろを知っておくことはとても有意義に感じます。
試聴するとすれば、なるべく上流電機器で、電源ケーブルと同時に交換がいいとアコースティックリバイブ石黒社長からアドバイスいただいています。
音質そのものは一緒に聴いたMyuさんがblogに自分の伝えたいことを的確にまとめていただいています。
Myuさんが書かれたこの部分はまったくたしかなものでした。
「聴感上とてもノイズフロアが低く、下方リニアリティと分解能等がAccuphaseのケーブルに比べて一桁高いように感じます。
ボーカルが立体感を伴って縦横比が自然な音像として拡がります。ボーカリストの薄化粧が取れ、優しくしかし凛とした素顔から発せられる自然で潤いのある歌声に魅了されます。ボーカルの明瞭感はPC-Triple C Absoluteシリーズに採用されたハイブリッド導体の中心部にある銅から、そしてボーカルの美しく心地良い余韻は外周部にある銀から発せられているのではと想像してしまいます。
録音時の暗騒音に近いレベルの小さな楽器の繊細な音もその余韻も含めて明瞭に聴こえますので、音楽・音源の良さがより堪能できます。」
若干付け足すとすると、背景の空気感が上がって、奥行も高さもさらに自然に聞こえました。
またこれはバランス、アンバランス回路の違いか、RCAケーブルとXLRケーブルの違いか切り分け出来ませんが、RCAケーブルの方がいささかすっきりフラット傾向。
XLRは大木のような地面から立ち上がるような凄味が出ました。
気がつくと20時過ぎからのケーブル試聴に始まって、1年かけて仕上げられたルーム音響らオーディオの話と各種音楽の聴取で盛り上がって、午前2時になっていました(^_^;)。
お持ちしたフランスのソムリエ50名が日本酒330本から選んだ日本酒の中に当地のものがあったのでお持ちしたほか、Myuさんはフランス赤ワインらがご提供。
奥様がいなかったからよかったようなものの、Myuさんお付き合いいただいて恐縮でした。
なお補足すると、このような付属してくる赤白RCAケーブル 細いスピーカーケーブル、壁にスピーカー設置で、間に大型テレビでほとんど音場らを追求していないシステム。
ミッドを中心に音をまとめておられるお宅ではこのケーブルの良さは出ませんでした。
これらの経験から、当初2世帯住宅として、1F一般電灯線、2F音楽室専用電灯線としたのが、結婚を機に2Fも家電とオーディオ電源が共通になってしまいました。
電源からきちんと吟味したご家庭でないと、このレベルのケーブルの良さは十分発揮できないようです。
新しい音楽室でマイ電柱らが出来てからにしましょう。石黒社長、せっかくお送りいただいたのに、第一印象をいい加減な環境で試したくないのでお許しください。
ポテンシャルの高さは間違いないので、必ず試聴させていただきます。
なお、これらケーブルは80万~100万円というとても高額なものです。
自分も含めて、ケーブルの原価というものに興味あります。
石黒社長とお仲間邸に車で同行する中でお聞きした製造秘話について語るのを了解しただきましたので記します。
まず、PC-TripleC/EXの導体を作るにあたっては、5N銀の銀塊を購入しなければなりません。
5N銀は貴金属扱いとなるため、先に数百万を支払って5N銀の銀塊を確保し、そこから
導体の製造が始まります。
PC-TripleC/EXは銀の中に銅(PC-TripleC)を埋め込んで行く工程から始まります。
銀に銅を埋め込んだ母材を引き延ばし、ある程度の太さになった時点でTripleCの鍛造製法で無限大に叩いて80%程度の太さまで圧縮して行きます。
この鍛造製法の結果、銀と銅共に結晶構造は電気が流れる横方向に連続したものとなり、
導通率は驚異の105%を実現しています。(通常の銀で102%、銅の最高値はオヤイデの102SSCの102%自社公表値)
アコリバはこのPC-TripleC/EX導体を製造最大値の約φ1mmの単線として採用していますが、購入した銀塊から出来るφ1mmの単線導体の長さは500mも出来ません。
2芯シールド構造のRCAケーブルでは左右ペアで4本の導体、3芯シールド構造のXLRケーブルでは左右ペアで6本の導体を使用しますので、1mRCAケーブルで4m、1mXLRケーブルで6mを消費します。
つまり1mRCAケーブルで125組、1mXLRケーブルで83組しか作れない計算となります。
鍛造製法による製造費も非常に高く、更にPVC絶縁の100倍以上、PE絶縁の30倍以上するテフロン絶縁や1m1本¥10000以上するシルクチューブ(緩衝材)やテフロンコーティングフレキシブル銅管シールド、通常のSFチューブの20倍以上するカーボンCSFチューブのコストも加算され、新開発のテルル銅ネジ留め式RCAプラグ、テルル銅ネジ留め式XLRプラグも1個当たり¥25000以上の原価(左右一組4個で¥100000以上)となっているため、ケーブル左右1組当たりの原価計算では軽く40万を超えます。
御存じのように通常の製造原価は中小企業で定価の30%以下、大企業では10~15%が基準となっています。
ケーブルメーカーでは10%以下が普通で、中には1%以下ではないかと思われるメーカーすらあります。
増して、最初に数百万の投資をしなければならないという時点で大きなリスクを背負うことになりますが、その利益率も10%にも満たないのでリスキー極まりないプロジェクトとなってしまっています。
しかし、そのリスクを背負ってもやっているのはPC-TripleC/EX導体の音質が余りにも別次元なためです。
ここまでのクオリティUPをケーブルで実現出来るという事実を世に問う意味も含めた製品だとご理解頂ければ幸いです。
ちなみに米国N社などは通常の銅材を使用しテフロン絶縁しただけで百万超のケーブルが存在しますし、国内S社のPC-TripleC/EXケーブルは80%以上をこれまでのPC-tripleC(銅)が占めており、PC-TripleC/EXは極細のリッツ線として20%程度採用しているのみです。